2024年1月1日以降、固定電話(加入電話・INSネット)が終了し、順次IP網への切り替えが開始されます。
これを機に、「家の固定電話って必要?」「携帯だけで良くね?」と改めて考えている方もいるのではないでしょうか?
今回は、携帯電話販売代理店に所属している筆者が「固定電話を持っていることの意味・メリット」や「固定電話と携帯電話の通話料比較」についてお伝えしていきます。
携帯電話に対しての固定電話のメリット・デメリットは何なのか?
これを念頭に記事を読んでいって頂ければと思います。
※この記事における「固定電話」ついて
NTT東西の公式ホームページには、
固定電話
加入電話・INSネット。いわゆるアナログ回線、デジタル回線を利用した電話。
ひかり電話
フレッツ光を組み合わせて利用できる電話。光IP電話とも言われる。
と定義されています。
(名称は違えど、光IP電話は各事業者によってサービス提供されています)
しかし、世間一般では「固定電話」と聞くと、「加入電話・INSネットなどの電話」と「ひかり電話」をまとめて固定電話として扱われているのが現状です。
よって本記事では便宜上これらの電話の種類をまとめて「固定電話」として解説し、「加入電話・INSネット」や「ひかり電話」それぞれに該当する場合は「加入電話・INSネット」「ひかり電話」と記述したり、かっこ書きなどで内容を補足したりしています。
固定電話のメリット
40代単身者である筆者自身は固定電話を契約していません。
1人暮らしをしてから、20年以上経ちますが固定電話を引いていなくて困ったことは、ただの一度としてありません。
しかし、筆者の状況だけ振り返って
「固定電話は必要か?」と論じても説得力はないと思います。
そこで本記事では固定電話を使っている筆者の両親や、固定電話を使っている方をご両親に持つ筆者の同僚から聞いた話を元に固定電話のメリットとデメリットについてまとめていきます。
この場合の「メリット」とは「携帯電話と比べた場合の」という意味です。
固定電話のメリット
- 通話料が安い
- フリーダイヤルが使える
(携帯電話からだと利用できないケースも) - (私立学校など)固定電話の方が緊急連絡先として良い目で見られる(という話をママ友の間で聞く)
- 携帯電話の通信障害の影響を受けない
- 携帯電話より電波が良い
上記のうち「通話料が安い」については「3.携帯電話との通話料比較」にて詳しく解説します。
- フリーダイヤルが使える
固定電話であれば、フリーダイヤルが使えます。
もちろん、携帯電話からでも通話料無料でフリーダイヤルを使うことができますが、フリーダイヤルの種類によっては、携帯電話からでは発信することができないフリーダイヤルも存在します。
- (私立学校など)固定電話の方が連絡先として相応しい(という話をママ友の間で聞く)
あくまで、「噂の域を出ない」話ですが、筆者の同僚曰く「歴史のある名門私立幼稚園や小中学校などでは、連絡先として記入する電話番号は固定電話の方が良いイメージがある」という話を聞くようです。
そもそも何故こういった噂がでてくるのでしょうか?
昭和の時代、固定電話を引くためには「電話加入権」という権利を購入する必要がありました。
NTT東西が発足した1985年の電話加入権の価格は72,000円。
当時の大卒初任給は14万円程度であったことを考えれば、家で電話を引くためにはある程度のお金が必要だったのです。
「電話加入権が購入できる」「家に固定電話をひける」ということは一種のステータスにもつながり「家に電話がひけて一人前」という風潮も昭和の時代にはあったようです。
これだけ携帯電話、スマホが普及した令和の時代であれば想像できない風潮ですよね?
しかし、昭和の時代に電話加入権を購入した方で「家に電話がひけて一人前」と考えているような人が、前述した様な学校関係者だったらどうなるか?
「固定電話を連絡先に書いてもらった方が信用できる」
と考える人がいてもおかしくはありません(あくまでもこれは筆者の憶測です)。
そうであれば、「やっぱり固定電話は持っておいた方が良い」と考える方がいるのも納得できます。
- 携帯電話の通信障害の影響を受けない
2022年7月にKDDIで大規模な通信障害が発生したことは記憶に新しいことかと思います。
通信会社問わず、携帯電話にはこういった通信障害が年に何回か発生してしまうこともありますが、固定電話にはこういった通信障害のリスクは限りなく抑えられています。
- 携帯電話より電波が良い
筆者の母は長野県に住んでおり、契約している携帯電話会社はソフトバンクです。
しかし、以前使っていたドコモに比べると電波が良くないらしく、携帯電話で筆者と話をしていても途中、「音声が途切れることもある」と言っています。また、これは電波の品質には関係ありませんが、筆者の同僚曰く「両親の携帯電話に電話をかけても出ないので、結局固定電話にかける」とのこと。
どうやら固定電話になれている方からすれば、携帯電話の着信にはなかなか気づかないようですね。
固定電話のデメリット
固定電話のデメリット
- セールス電話がかかってくる
- 加入電話(アナログ回線など)の場合、
①毎月1,700円程度の料金がかかる
②通話先との距離が離れていると料金が高くなる
(ただし、2024年1月1日以降は時間あたりの通話料金は距離に関係なく一定となる)
- セールス電話がかかってくる
固定電話をひいていると、セールス電話、選挙応援など、自分にとって不要な電話も受けることになります。
時にはオレオレ詐欺などの犯罪被害に遭うことも。
個人情報保護に関する社会的意識の高まりなどによって、ハローページの発行・配布自体は2021年10月以降に発行・配布された最終盤をもって終了しました。
しかし、固定電話を持っている家庭には、未だにセールス電話がかかってくるようです。
- 加入電話(アナログ回線など)の場合、①毎月1,700円程度の料金がかかる
フレッツ光を利用したひかり電話であれば月額料金は550円(税込)〜で済みますが、アナログ回線を利用した加入電話で請求される基本料金は毎月1,700円程度。全く通話していなくてもこれはかかるお金です。
固定電話を利用している方は、基本料金だけでなく「ナンバーディスプレイ」などのオプションも加入している方もいるでしょう。そうなるとほとんど通話していなくても、固定電話料金で毎月3,000円程度いきます。
これも「固定電話って必要?」と考える方が多い理由の一つになっています。
- 加入電話(アナログ回線など)で固定電話へ通話する場合、②通話先との距離が離れていると料金が高くなる
(ただし、2024年1月1日以降、時間あたりの通話料金は距離に関係なく一定となる)
携帯電話より通話料金が安いイメージのある固定電話ですが、固定電話から固定電話に電話をかける場合、
- 電話をかける時間
- 電話をかける相手先との距離
この2つの条件によっては携帯電話から通話した時よりも通話料が高くなってしまう可能性があります。
(固定電話への通話料は3分あたり8.8円(税込)で統一されているためひかり電話は対象外)
県外の通話は「NTTコミュニケーションズ」の通話料金が適用されますが、例えば発信する時の条件が以下のものだったとしましょう。
- 平日8時〜19時
- 100km離れた固定電話
この場合の通話料は22.5秒あたり88円(税込)。
一方、例えばドコモなどの大手通信キャリアの携帯電話から通話した場合は、時間帯・距離に関係なく、30秒あたり22円(税込)。
なんと、携帯電話の通話料の方が安くなってしまうのです。
ただし、2024年1月1日以降、加入電話・INSネットから、IP網への切り替えが開始されれば、時間帯・距離に関係なく30秒あたり9.35円(税込)で統一されます。
携帯電話との通話料比較
固定電話をやめて、携帯電話一本に絞ろうと考えている方が頭に浮かぶのが
基本料金、通話料含めてどっちが安いか?
ということでしょう。
ここでは、固定電話、具体的に言ったら「加入電話」・「INSネット64」と携帯電話の基本料金と通話料金を比較します。ただし、携帯電話の基本料金は通信事業者によって異なりますので、解説に用いた表の基本料金の箇所については「料金プランによる」としています。
注意点①
日本全国において、2024年1月1日より加入電話・INSネットなど、アナログ回線、デジタル回線を利用した固定電話はIP電話網に移行、基本料金と通話料金が改定される関係上、今回の固定電話の料金は「2024年1月1日に改定される料金」とします。また、表に記載している固定電話の料金はNTT東日本のものですが、NTT西日本も同様の料金となっています。
また、携帯電話の通話料金はドコモなどの大手通信キャリア(オンライン専用プラン含む)、ワイモバイルなどのサブブランドでは30秒あたり22円(税込)となっています。今回の比較に用いる表ではドコモ(大手通信キャリア)のものとします。
注意点②
インターネットサービスとセットで利用できるひかり電話に関しては、基本料金が月額550円(税込)程度で、固定電話への通話料も全国一律で3分あたり8.8円(税込)と低料金で提供されています。
本記事では「ひかり電話は契約しておいたままの方が良い」というスタンスをとっているため、ここでは割愛しています。
料金比較
固定電話 | ドコモ | |
---|---|---|
基本料金 | 1,870円 (3級取扱所) 1,705円 (2級取扱所) 1,595円 (1級取扱所) | 料金プランによる |
固定電話への通話料 | 9.35円/3分 (全国一律) | 22円/30秒 (家族間は無料) |
携帯電話への通話料 | 17.6円/60秒 | 22円/30秒 |
IP電話(050)への通話料 | 11.55円/3分 | 22円/30秒 |
かけ放題などの 割引サービス | 廃止 | 5分以内かけ放題 880円 かけ放題 1,870円 |
※料金は税込。
※固定電話(加入電話・INSネット64)は電話の加入者数(取扱局)によって基本料金が区分されている。料金が高いものほど、加入者数が多い、ということになる(東京、横浜などの人口が多い地域にある取扱局は加入者数が多いため一番料金が高い3級取扱所となっている)
(2024年1月1日より)「距離・時間帯に関係なく3分10円弱で通話ができる」というのは固定電話を持つメリットとなるでしょう。
一方、携帯電話の場合だとどうなるか?3分通話で132円(税込)。固定電話の10倍以上もします。
固定電話は基本料金として毎月1,500円程度かかりますが(加入電話、INSネット)、通話が多い方からすれば残しておく価値がありそうです。
固定電話を契約しておいた方が良い人
ここまでの固定電話の携帯電話と比較した場合のメリット・デメリット、そして料金比較を通して、「固定電話を契約しておいた方が良い(残しておいた方が良い)」と思われる人について、前述した内容を踏まえてまとめてみます。
- (携帯電話からはかけられない)フリーダイヤルによく電話をかける方。
- 子供を私立の学校に通わせようと考えており、「固定電話を連絡先に書いておいた方が、何となく良いのでは?」と思う方。
- 携帯電話の電波が良くない方。
しかし、です。
様々な料金プランや、かけ放題サービスが用意されている携帯電話が普及している今、正直、固定電話を持っておくメリットは薄れてきていると言えるでしょう。
むしろ、営業電話やオレオレ詐欺の電話を受けるリスクが固定電話にはあるので、「もう、いらない」と思う方が増えてくるのは自然の成り行きとも言えます。
(参考) 基本料金+通話料金が安い携帯会社
固定電話の毎月のコスト(光IP電話を除く)
基本料金+オプション+通話料=1,595円〜
このコストを考えると、いっそのこと通話専用の携帯電話を契約した方が安上がりになる可能性があります。
それは格安SIM(MVNO)を契約するということです。
格安SIM(MVNO)の中には基本料金が500円以下、30秒あたりの通話料が大手通信キャリアの半額、そしてかけ放題オプションも1,500円以下で使えるところも出てきています。
以下の表は、基本料金が安い代表的な格安SIM(MVNO)の基本料金とかけ放題オプションをまとめたものです。
povo2.0を通話専用にするのであれば、月額550円(税込)の5分以内通話かけ放題トッピングや、月額1,650円(税込)の通話かけ放題トッピングだけ契約して利用する方法もあります。
「固定電話にはオプションに加入すれば何時間、どこに電話をしても、国内通話料はかからない」といったかけ放題サービスはありませんが、携帯電話であればそれが用意されています。
長電話をよくする方は、通話用として格安SIM(MVNO)やpovo2.0を検討してみてはいかがでしょうか?
日本通信公式ホームページ
HISモバイルホームページ
mineo公式ホームページ
povo公式ホームページ
まとめ 無料オンライン相談あり
※画像はイメージです。
以上、本記事では固定電話のメリット・デメリット、携帯電話との通話料比較について解説してきました。
まとめです
- 通話料が安い。
- フリーダイヤルが使える。
(携帯電話からだと利用できないケースも) - (私立学校など)固定電話の方が緊急連絡先として良い目で見られる(という話をママ友の間で聞く)。
- 携帯電話の通信障害の影響を受けない。
- 携帯電話より電波が良い。
- セールス電話がかかってくる。
- 加入電話(アナログ回線など)の場合、
①毎月1,700円程度の料金がかかる。
②通話先との距離が離れていると料金が高くなる。
(ただし、2024年1月1日以降は時間あたりの通話料金は距離に関係なく一定となる)
- 基本料金は1500円程度かかるが、固定電話への通話は全国一律9.35円/分(携帯電話は22円/30秒のところが多い)。
- かけ放題サービスは廃止となる。
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